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相続したくない土地や建物など「負動産」の売却・買取方法とは?

本コラムでわかること

「親から田舎の土地を相続したが、使い道がない」
「管理費や税金ばかりかかる『負動産』を手放したい」

相続財産の中に、資産価値よりも維持費や管理の手間が上回る不動産、いわゆる「負動産」が含まれていることで、頭を悩ませている方は少なくありません。

特に、令和6年(2024年)4月1日から相続登記が義務化されたことにより、不要な不動産であっても「放置する」という選択肢は法的にもリスクが高まりました。

本コラムでは、負動産を相続してしまった場合の法的なリスクと、「相続土地国庫帰属制度」を含む最新の処分・対応方法について、駒込の司法書士がわかりやすく解説します。

そもそも「負動産」とは?相続して放置する4つのリスク

「負動産」とは法律用語ではありませんが、一般的に「所有しているだけでマイナス(負債)になる不動産」を指します。
利用価値が低いにもかかわらず、相続してしまうと以下のような金銭的・法的リスクが発生します。

⚠️ 負動産を放置する4つのリスク

  • 固定資産税・都市計画税の負担
    更地にした場合や、特定空き家に認定された場合、税負担が跳ね上がる可能性があります。
  • 管理責任と損害賠償
    老朽化した家屋の倒壊や、崖崩れ等により近隣住民に損害を与えた場合、所有者(相続人)が多額の損害賠償責任を負います(民法第717条)。
  • 相続人間でのトラブル
    「誰が税金を払うのか」「誰が管理するのか」で親族間の争いに発展しやすくなります。
  • 相続登記義務化による過料
    正当な理由なく相続登記を放置すると、10万円以下の過料が科される可能性があります(令和6年4月1日施行)。

このように、現在は「とりあえず放置しておく」ことが許されない時代になっています。

負動産の処分・解決策フローチャート

では、具体的にどのように対処すればよいのでしょうか。
従来の「相続放棄」に加え、現在はいくつかの選択肢があります。状況に合わせて、以下のステップで検討することをおすすめします。

STEP 1:市場調査・売却活動
STEP 2:隣地所有者・自治体への寄付打診
STEP 3:相続土地国庫帰属制度の検討
(相続発生後3ヶ月以内なら)
STEP 4:相続放棄の検討

従来の選択肢と注意点

1. 相続放棄する

家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをすれば、最初から相続人ではなかったことになり、負動産を引き継ぐ必要はなくなります。

しかし、これには強力なデメリットがあります。

  • 負動産以外のプラスの財産(預貯金など)も一切相続できなくなる。
  • 次順位の相続人(親戚など)に相続権が移り、迷惑をかける可能性がある。
  • 管理義務が直ちになくなるわけではない(民法第940条の改正により要件は厳格化されましたが、一定の管理責任が残るケースがあります)。

2. 我慢して相続する

とりあえず相続し、問題を先送りにする方法です。しかし、ご自身が亡くなった際、今度は配偶者や子供たちがその「負動産」に苦しめられることになります。

新しい選択肢「相続土地国庫帰属制度」の活用

令和5年(2023年)4月27日からスタートした「相続土地国庫帰属制度」は、相続した土地を国が引き取ってくれる新しい制度です。
これまで「売れない・貸せない」土地を抱えていた方にとって、画期的な解決策となり得ます。

項目 内容
概要 相続等により取得した土地所有権を国に帰属させる制度
主な要件
  • 建物がないこと(更地であること)
  • 担保権や使用収益権が設定されていないこと
  • 土壌汚染や埋設物がないこと
  • 境界が明らかであること
費用
  • 審査手数料:1筆あたり14,000円
  • 負担金:原則20万円(面積等により変動)

建物がある場合は解体して更地にする必要があるなど、すべての土地が対象になるわけではありませんが、要件を満たせば将来的な負担を断ち切ることができます。

参考:相続土地国庫帰属制度について(法務省)

民間の引き取りサービス・売却の可能性

不動産会社や有償引き取りサービスの利用

近年では、通常の市場では売却できない山林や原野などを、「処分費用」を支払うことで引き取ってくれる不動産会社やサービスが増えています。
国庫帰属制度の要件(建物の解体など)を満たすのが難しい場合、こうした民間サービスの利用が現実的な選択肢となることがあります。

ただし、中には高額な手数料を請求する悪質な業者や、名義変更を適切に行わないトラブルも報告されています。利用する際は、契約内容を十分に精査する必要があります。

まとめ

これまで、相続しても所有しているだけでマイナスにしかならない負動産を処分するのは簡単ではありませんでした。相続放棄するのであれば、他の遺産まで相続できなくなりますし、我慢して相続しても様々なトラブルの引き金になるばかりか、ご自身の相続人にまで負の遺産を押し付けることになっていたのです。

しかし、令和54月から始まった「相続土地国庫帰属制度」や、昨今の不動産会社による不要土地の引き取りサービス、インターネットを活用した個人への引き取り依頼など、負動産を処分する選択肢が増えてきています。

ご自身にあった方法で、相続してしまった負動産の負担から免れましょう。

駒込・文京区周辺で負動産・相続問題にお悩みの方へ

負動産の問題は、単に「処分すれば終わり」ではありません。
前提となる相続人の確定、遺産分割協議、そして不動産の名義変更(相続登記)など、複雑な手続きが絡み合います。

当事務所は駒込駅周辺を中心に、文京区・豊島区・北区エリアの相続問題に力を入れています。

  • 相続土地国庫帰属制度を利用できるか診断したい
  • 相続放棄をするべきか、他の手段があるか知りたい
  • 遠方の土地の相続登記を任せたい

このようなお悩みをお持ちの方は、問題を先送りにして事態が悪化する前に、専門家である司法書士へご相談ください。
お客様の状況に合わせて、法的に最もリスクが少なく、経済的負担の軽い解決策をご提案いたします。

 
この記事の執筆者
吉田研三司法書士事務所 代表 吉田研三
保有資格司法書士、家族信託専門士、相続アドバイザー認定会員、その他
専門分野相続・生前対策
経歴司法書士事務所を経営していた父(吉田雄三司法書士事務所)の病死をきっかけに司法書士を目指す。 司法書士試験に合格した翌年に、先代の吉田雄三司法書士事務所と同所にて吉田研三司法書士事務所開業。
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